『何よ、その笑顔は』
冬歌も、結婚生活で少し口調がきつくなった気がする。
『わかった?さすが冬歌』
あたしがいない間に、何があったのよ?
『俺、雛にフラれたから』
『……え?』
稚尋が言う、雛とは。
久崎 雛子(クザキヒナコ)
稚尋の幼なじみだ。
その雛子に……フラれたの?
て言うか、稚尋が雛子を好きだったってことが初耳なんだけど。
『えっ……フラれたって?』
『そのまんまの意味だよ。だから…もういいんだ』
稚尋はそう言って、自分の部屋に戻ってしまった。
稚尋と雛子は稚尋が冬歌の弟になる前からの付き合いだ。
そのよしみで、冬歌も雛子と仲良くなった。
いつからそう言う関係になったのよ?
冬歌は玄関で一人考えた。