「……姫、俺と一緒にいるのは……苦痛?」
その言葉に、澪は顔をあげ、稚尋を見た。
稚尋は、そんなことを思っていたの?
稚尋の気持ちを考えると、澪は胸が苦しくなった。
「そんなことっ……!」
そんなことない。
この時間が苦痛だと言うのなら、私はおかしい人間だ。
私はただ……素直な自分になれないだけ…………。
稚尋の言葉に、澪は涙が溢れ出そうになった。
やめてよ。
そんな優しい顔で私を見ないで……。
「俺の本音はただ一つ……俺は姫が好き」
「……信じられない」
「どうして?」
「………………」
その問いに、澪はなぜか答えることが出来なかった。
ただただ、長い沈黙が続いた。