ただの自惚れかもしれない。だけど、例えそうだとしてもそれでもいい。

これだけがわたしの生涯の中で唯一の誉かもしれない。

 この世界で、ハルの才能に誰よりも最初に気付いたのは——”わたし”だと思うから。







 わたしの一つ上の学年には、この学園の名物コンビとモテはやされる先輩がいた。

 そういう事に、全く興味のなかったわたしでさえも知っている位だから、その人気っぷりは相当なものだと思う。

 それが”ハル先輩”と”アキ先輩”だった。

 いつだって女子の間で交わされる会話は、専ら彼らの事で持ちきりだ。

 一方わたしと言えば、幽霊部員を多く抱えた名ばかりの軽音部に所属する、至って普通の高校二年生。

放課後は決まって部室にこもり、ドラムの練習に励んでいる。

 部員の大半が幽霊部員にも関わらず、部室には機材等の設備が充実しているから不思議だ。

 誰にも気を使う事なく、好きなバンドの曲に合わせて気兼ねなく練習出来る所が、実は気に入っていたりする。

 と言うのも、わたしが好んで聴くバンドは、マイナーバンドばかりなのも手伝って、周りで知っている子に出会った試しがないのだ。

 だけど、ここなら好きな曲に合わせて自由にやれる。

メンバーがドラムしか居ない現状では、どこかのステージでお披露目って訳にもいかないけれど、わたしは十分満足していた。

 そんなある日の放課後。HRを終えると教室から飛び出したわたしは、その足で部室へと向かう。

はやる気持ちを抑え、頼むからそこにあってくれと願わずにはいられなかった。

 と言うのも昨日、スクールバッグに入れていたお気に入りのCDが無い事に帰宅後にようやく気付いたのだ。

 おそらく部室にでも忘れてきたのだろうとすぐに察しがついたのは良いが、——忘れてしまったのがよりによって既に廃盤してしまっているCDだった。


「(……我ながらアホ過ぎる。)」


 ため息をこぼしながらもようやく辿り着いた部室の方を見ると、何故か扉が開け放たれている。