
作品番号 1559888
最終更新 2019/08/03
〓第二作『back number』〓
初めはわたしだけが知っていた。
だけど、いつしかそれは誰もが知っていた。
ようやくハルへの気持ちを自覚した頃には、いつの間にか彼はわたしには到底手の届かない場所に立っていた。
誰よりも近くに居たはずのあの日々から、わたしだけが未だに囚われ続けている。
それを何より物語るのはハルへの気持ちが募るのと比例して、部屋の片隅に積み重なっていく音楽雑誌のバックナンバー。
——中性的で力強いその歌声に、恋をした。
P.S.あの日の約束は、君の中でまだ有効ですか。