「あ~あ。嫌だな……」
プリントを重ねていきながら大きな溜め息をつく。
誰もいない教室。部活以外の子たちも、手伝わされると思ったのか早々に帰ってしまった。
机を六つ横に並べて、ひとつの机に一種類、計五種類のプリントたちを順に重ねて渡す。
「……はい」
少し間違い。わたしともうひとり以外誰もいない教室。
「ああ。仕方ないね。今日はボクたちが日直で、しかもふたりはクラス委員」
「部活行けないし、間宮くんだし」
「何? この前泣いてしまったことを気にしているのだとしたら……」
「それは全く。それに、あれは間宮くんが考えてるようなものじゃないから」
「って、日紫喜はちゃんと言っていただろう」
言葉の端々に含むものも感じるけど。
「そうだけど……言いふらさないでくれてありがとう。あと、本当に百瀬のことじゃないから」
自分のしてたことに対して何かが起こっても、それは可能な限り受け止めたいと思う。けど、回避できるならそれは大歓迎。
知らない人たちに噂されるのは、やっぱり気持ちのいいものじゃない。でも非難もできない。実際わたしが逆の立場だとしても、耳を傾けないとは限らない。