寮のみんなとは大して距離が詰められないまま、入学式の日がやってきた。
この数日、めげることなく毎食作ってみたけれど、一度も全員がリビングに集うことはなかった。
(好きなものだったら音紘さんが食べに来てくれるんだけど……)
結局、自室に持って行ってしまうので、集まったとは言い難い。
しかも食器が返されたことはない。
それが部屋でどうなっているのかが1番恐ろしかったりする。
(それに結局『希遥ちゃん』と『七海ちゃん』には一度も会えなかった)
同じ寮で暮らしているはずなのに、不思議だ。
もしかしたら春休みの間、実家に帰省していたのかもしれない。
(どんな女の子なんだろう)
年下だと聞いている。
楓さんとはまた別な感じなんだろうなと楽しみに思いながら、鏡の前に立った。
(可愛い……)
ベージュのセーラーに、ブラウンのプリーツスカート。
有名なデザイナーが手掛けたという星並学園の制服は女子の憧れだ。