「週明けにでも病院に行こう。俺も一緒に行くから」

 そして彼は改めて深く息を吐いた。

「それにしても、まさかこんなクリスマスプレゼントをもらうなんて」

 どうやら私が思う以上に彼は驚いていたらしい。少しだけしてやったりという気持ちになった。

 だって嬉しかったんだもの。

 去年このホテルを予約して、今みたいにバーから部屋に戻った後、彼からこの婚約指輪をプレゼントされて、プロポーズしてくれたことが。

 泣きそうなのをぐっと我慢して受け取った。最高のクリスマスプレゼントで彼は私にとってのサンタクロースだった。

 だから今年は私が彼にとってのサンタクロースになってみたかった。

 ふと抱きしめられていた腕の力が緩んだので、お互いに顔を見合わせる。

「ありがとう、愛してるよ」

 まさかの台詞になにか言おうとすると、その前に唇を重ねられた。きっと彼からのクリスマスプレゼントなのかもしれない。

 やっぱり彼以上のサンタクロースに私はなれそうもなかった。

 来年はどうだろう。新たに増える家族のために、今度は私たち二人がサンタクロースになる番だ。

 そして再来年は彼の言う通り、ここに三人で来よう。

 去年や今年とはきっと違うクリスマスになる。それでもこの思い出のホテルで家族で過ごせることが私は今から楽しみになった。