『私のお母さん』つまり、ローズにとってあの魔女は祖母にあたるわけだ。
そうか。


だからあの魔女はあんなにローズに固執していたのか。


それがわかると、自然と笑みがこぼれた。


「なにがおかしいのよ!? 塔から連れ出したら現実を知ることになるわ! 父親は娘を愛してはいない、傷つけるだけよ!」


胸倉を掴む手に更に力が入る。


けれど、アリムは冷静だった。


「あんたはどうなんだよ」


「え……?」


「あんたが、ローズを愛してやりゃいいんじゃねぇの? それに、あの魔女もかなりローズに入れ込んでるぜ? 俺も、俺の妹もローズのことが好きだ」


それでも、あんたはローズが不幸だというのか?


アリムの言葉に、女の手の力は一気に緩んでいった。


「でも、私いまさら会うなんて……」


「大丈夫、ローズはきっとあんたを許すよ。だって、ローズを守るためにやったことなんだろ?」