「なに?」


「あんたをここから連れ出しにきた」


アリムの言葉に女は一瞬目を見開いた。


半分眠っていたのが、ようやくおきた感じだ。


「なにを言ってるの? できっこないわよ」


もう何年もここで働いてきたせいか、すべての希望を失っているような声。


「できるさ。俺はローズを2度助け出した」


「……なんですって?」


「あんたの娘だ」


そういうが早いか、いきなり女はアリムの胸倉を掴んできたのだ。


咄嗟のことでよけきれないアリムは見事に捕まった。


「なんで、そんな事を……!」


娘を助けたというのに、ギリッと歯を食いしばる女。


「なんで……って……」


「あの子のことは、私のお母さんが面倒見てたのに!!」


その言葉に、アリムの中で疑問が晴れて行った。