しかし世間の目は厳しく、親のわからない子供の店で買い物をする客はほとんどいなかった。


時折近所のおばさんが持ってきてくれる野菜と、アリムがくすねてくるお菓子などで飢えをしのぐ毎日。


18になってからも、その生活はほとんど変わらなかった。


盗みはしなくなったものの、贅沢は一切できない。


服も、ボロ雑巾と言われようがこれ一着しか持っていなかった。


『俺が、連れてくればいいんだな』


水晶の中の女を脳裏に焼き付ける。


そして、次の瞬間。


水晶から目を離した隙に魔女は姿を消し、そこには日常の雑多が広がるだけだった。


そして、今。


アリムは水晶で見た地下の店の前に来ていた。


灰色の、古い扉を開けるとそこには沢山の女たちが長いソファや丸い椅子などに座っていた。


先に料金は支払っているので、この中で好きな女を選び、奥の部屋へ移動するのだ。


アリムは女の顔を確認しながらその場を歩く。