昼頃くらいから徐々にお客は増え始め、商品を吟味しては小首をかしげて店を出る。


そんな事が多かった。


なのに、バンッと開いた店のドア。


勢いよく入ってくる数十人、いや、数百人はいそうな客数。


その数に、カウンター内で唖然として立ちすくんでしまうローズ。


(これは一体、どういうこと……)


「ローズ! 鍬はどこにある?」


「俺は馬をひく綱を探してる!」


「畑の肥料は、置いてるのかしら?」


次々と浴びせられる質問に、ローズは「あ、えっと、あの、こちらっ!」と、しどろもどろに受け答えをする。


「一体、今日はどうしたって言うんですか?」


ちょうど、ローズを地下室から助け出してくれた街の一人と目が合い、ローズは訊ねた。


「今日は街のみんなの給料日なんだよ。薬を分けて助けてくれたアリムに、ちょっとでも恩返しするために来たんだ」


「はぁ……」