ホワイトに聞こえるように言い、片手をあげてみせる。


そのサニエは、今日はアリムの変わりに新しい商品の下見に出かけている。


アリムは、なにか大切な用事があるといっていた。


「このお店がもっと繁盛してくれたら、ホワイトの小屋を作れるのに」


今のところ、ホワイトは店の外で寝起きしていた。


雨などが降ると、山へ飛んでいって木々の間に身を潜めて過ごすのだという。


「農機具だけじゃなくて、キッチン用品も置けばいいわ。それから店内をもっと明るくして、小窓ももっとオシャレなカーテンに変えて――」


店内の掃き掃除をしつつ、そこまで言ったとき外が騒がしくなってきた。


いろんな店がほぼ同時にオープンするので、このにぎやかさはいつものことだった。


しかし今日は、その騒がしさが、次第にこちらへ近づいてきているのだ。


「あら……お客さんかしら?」


手を止めて、カウンター内へと戻る。


いつもは開店してもしばらくお客はこない。