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数週間後。


トクイアン王国は、街人たちの手により完全に幕を閉じた。


王であるトクイアン本人は金も権力も失った。


そして、ここはアリムの家。


「ローズ、店番を頼む」


「えぇ。いいわよ」


ローズとアリムは妹のサリエを交え、3人で暮らすこととなった。


2度も自分を助けてくれた青年。


王子じゃないけど、お金も、権力もないけれど。


姫には似つかわしくない人だけど。


それでも、ローズはずっとこの街で一緒に暮らせていけたらと思っていた。


自分の父親のこと、母親のこと、魔女のことが気にならないわけじゃなかった。


どれだけ冷たくても、どれだけ無関心でも、両親だから。


ローズは店の茶色いエプロンをつけて、カウンターに立った。


窓の外から、店の様子を気にするホワイトの姿。


「大丈夫よ! 昨日サリエにお会計の仕方を教えてもらったから」