バンッと破られて開いた扉。


「ローズ!」


同時に呼ばれた名前。


その瞬間瞼の中のアリムは消え、かわりに目の前に待ち望んだその人が立っていた。


アリムの後ろには肩で呼吸を繰り返し、血に染まった農機具を持つ街人たち。


「アリム!!」


かけよろうとして、体が重たくて足が絡まった。


アリムはそれを抱きかかえ、そしてすぐにポケットから薬を取り出した。


「ほら、飲め」


「妹さんには……?」


「あいつはもう大丈夫だ。街のみんなにも、ちゃんと配った」


だから、ほら。


差し出す薬を受け取ろうとした手が、途中で力尽きてダランと垂れ下がった。


「おい、ローズ!?」


緊張が解けたのか気を失ってしまったのだ。