這うようにして扉まで移動し、そっと耳をすませる。


色々な兵士たちの怒鳴り声。


時折聞こえてくる、何かがぶつかり合う高音。


(なにか、起きたのかしら)


その場から数歩下がって、不安に駆られる。


普段から傲慢な態度をとり、感染病が拡大しても何も手をうとうとしなかった王。


その王に対し、不満を抱いている街の人は多いはずだ。


(もしかして、反乱!?)


ローズの顔から、サッと血の気が引いていく。


だとしたら、早くここから出て逃げなければ、宮殿は燃やされてしまうかもしれない。


でも……。


ローズは地下室の中を見回す。


どこにも、出口なんて見当たらない。


光さえ、入ってこないこの場所。


唯一外部と繋がっているのは、この重たい扉だけ……。