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地下室に閉じ込められて一週間以上が過ぎていた。


1日3食運ばれる食事のおかげで、かろうじて日付の感覚があった。


ローズは真っ暗な部屋の中、冷たい床に身をゆだねてアリムの姿を思い出していた。


ボロボロの服を着て、真っ白な竜に乗った青年。


魔女が自分を愛してくれていたのだと、教えてくれた人。


「現実は……こんなにも厳しいのね」


呟き、自分の体を抱きしめる。


(あたしにも毒があったらいいのに)


ドラゴンレッドのように自ら毒をもっていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。


今の自分は、無力だ……。


数時間前に運ばれてきた朝食はいまだ部屋の隅におかれていて、ローズはそれに口をつけていなかった。


昨日の晩から、食欲がなくなってきている。


水分だけは摂っているが、きっとそれも困難になるだろう。


そしてきっと、外の誰にも知られることなく、この地下室で……。


そこまで考えたとき、扉の外が騒がしいことに気がついた。