アリムの眉間のシワは更に深く刻まれる。


この、どう見ても《魔女です》といわんばかりの容姿の老婆が、本当に魔女だというのだろうか。


「ローズを誘拐した魔女って……もしかして、あんたか?」


「その質問に答える義理はない」


それだけ言って、老婆は足早に建物の影に身をかくした。


「おい、待てよ!」


そう言って追いかけるが……そこにはすでに老婆の姿はなく、黒猫が一匹にゃぁーと、鳴いただけだった。