「ちょっと出かけてくるから、留守番頼む」


「お兄ちゃん、どこへ行くの?」


もう、薬を必要な人はいないはずよ?


そう言いたげなサリエ。


アリムは1つだけ赤い薬を大切そうに握りしめ、振り向いた。


「姫のところに行ってくる」


「姫様のところ……?」


「あぁ。大切な届け物があるんだ」


まだ何か聞きたそうな妹を残し、アリムは家を出た。