宮殿を出たアリムはホワイトの背に乗り、街はずれの大きな薬局へと来ていた。


「なんだよ、おい」


店の看板を見るなり、アリムの表情は険しくなった。


建物の扉に『クローズ』の看板がかかっているのだ。


「こんな一大事に店を開けねぇつもりかよ」


そう愚痴り、ドアを乱暴にノックする。


「開けろよ! 街が大変なことになってんだよ!!」


怒鳴りながら何度もノックを繰り返すと、ドアの横についている窓から、店の明かりが漏れてきた。


「誰だ?」


言いながら、鍵を開ける音が聞こえてくる。


「俺だ! 鍛冶屋のアリムだ!」


そう名乗ると、薬屋の男は驚いた様子でドアを開けた。


横に大きな体が、入口をふさいでいる。


「アリㇺ! お前帰ってきてたのか!」


「あぁ。国王から褒美をもらってきた」


「そうか。待ってたんだぞ」