☆☆☆

兵士に抱えられたローズはそのまま地下室の重たい扉の向こうへと投げ込まれた。


「痛っ」


小さく悲鳴を上げるが、兵士は答えない。


中は真っ暗で、明かりの1つもない。


寒くて震えるローズを尻目に、兵士は重たい扉を閉じた。


「ちょっと……ちょっと、待って!」


這うようにして扉へ向かい、そのノブに手をかける。


しかし、鍵をかけられてしまったらしく、びくともしない。


「開けて! 開けなさい!」


国王の娘として命令してみるけれど、扉の向こうからな何も返事はなかった。


「……っ」


しばらく待ってみても物音1つ聞こえず、ローズはあきらめたように扉を背にして身を丸めた。


泣くな。


わかってたことじゃないか。


自分が戻って来たって、喜ぶ人間なんていない。


おまけに、今自分はウイルスに感染している。


だから、こんな場所に閉じ込められたんだ。