国に近づくにつれ空気が悪くなってきたようで、2人は葉っぱをマスク代わりにして口元へ当てていた。


もちろん、ホワイトも大きな葉っぱを口元にあて、葉の両端に蔓を差込み、角に固定してマスクのように使っていた。


「ねぇ、ずっと気になってたこと聞いてもいい?」


「なんだよ?」


「どうして、竜に乗ってるの?」


街ではほとんどの人間が馬を使っている。


竜なんて、それこそ魔女の塔にでも行かなければ出会わないだろう。


「子供のころ、卵を拾ったんだ」


「卵?」


「あぁ。虹色の、両手でやっともてるくらいおおきなヤツだ」


言いながら、アリムは懐かしそうに目を細めた。


「見ればわかると思うけど、俺は家は貧乏でな。金になりそうなモンは、なんでも拾って帰った」


「それがホワイト?」


「あぁ。孵化させる気はなかったんだけど、拾った時すでに生まれる寸前だったみたいなんだ。で、持って帰って翌日にはホワイトが生まれた」


「親元へ帰そうとは思わなかったの?」