魔女の姿が見えなくなったと思うとほぼ同時に、後ろからローズを呼ぶ声が聞こえてきた。


振り返ると、白い竜と背中にのったアリムが見える。


ローズは思わず微笑んで、「ここよ!」と、手を上げた。


「大丈夫か、ローズ!」


心配そう言ってくるアリムの姿はぼろぼろで、今すぐにでも手当てが必要だった。


それなのに、自分を先に迎えに来てくれたアリム。


(ほらね、おばあさま。彼なら信じられると思うの)


「あたしは大丈夫よ」


ボロボロの王子に手を引かれ、竜の背中に乗る。


「とりあえず、洞窟に戻って手当てしなきゃね」


ローズがアリムの傷口にちょんっと触れると「いってぇ!!」と悲鳴を上げたのだった。