「わたくしは偶然ここを通りかかったのです。そう、姫を助けにいく途中でした。風が強くなってきたので今日は洞窟で一晩過ごそうと考え入ってみると……なんということだろうか! 探していた姫がこんなところにいたなんて!」
ザイアックは大げさな身振り手振りを交えて、熱演し、最後にアリムを押しのけてローズの手の甲にキスを落とした。
「俺の女に何すんだよ!」
アリムが怒鳴り、『今、存在に気が付いた』と言わんばかりにザイアックが視線を移した。
「やぁ、君は……誰だい?」
少しの沈黙の間にザイアックはアリムの着ている服を下から上まで見回し、そして顔をしかめた。
「俺はアリム。街の商人だ。ちなみに、姫は俺が助け出してここまで俺が連れてきた。もちろん、俺が責任を持って姫を王の元へ返す」
『俺』という部分をやけに強調して告げるアリム。
「なるほど。君の言いたいことはよくわかった。で、いくらだ?」
ザイアックはポケットから巾着のような袋を取り出して、開いて見せた。
そこには硬貨がジャラジャラと入っている。
「何がいいたい?」
「いくらで姫をこちらへ渡すか? それを聞いてる」
みすぼらしいアリムの姿を見て、簡単に金で動くと信じているのだ。
ザイアックは大げさな身振り手振りを交えて、熱演し、最後にアリムを押しのけてローズの手の甲にキスを落とした。
「俺の女に何すんだよ!」
アリムが怒鳴り、『今、存在に気が付いた』と言わんばかりにザイアックが視線を移した。
「やぁ、君は……誰だい?」
少しの沈黙の間にザイアックはアリムの着ている服を下から上まで見回し、そして顔をしかめた。
「俺はアリム。街の商人だ。ちなみに、姫は俺が助け出してここまで俺が連れてきた。もちろん、俺が責任を持って姫を王の元へ返す」
『俺』という部分をやけに強調して告げるアリム。
「なるほど。君の言いたいことはよくわかった。で、いくらだ?」
ザイアックはポケットから巾着のような袋を取り出して、開いて見せた。
そこには硬貨がジャラジャラと入っている。
「何がいいたい?」
「いくらで姫をこちらへ渡すか? それを聞いてる」
みすぼらしいアリムの姿を見て、簡単に金で動くと信じているのだ。