ローズは恐る恐るその食事に口をつけるが、今のところ変わったことはない。


むしろ、その料理はどれもおいしく、ヘルシーだった。


まるで自分の体を心配して作ってくれているようだと、ローズは何度となく感じ、何度となくその考えを打ち消してきた。


(自分を誘拐した魔女が優しいワケない。


きっと、あたしをもっと成長させてから最初の企みを実行する気なんだわ。)


窓は開けずに、今にも雨が降り出しそうな空を見上げる。


ここ数か月前から、魔女はローズに『窓を開けるな』と、指示していた。


(何かが始まったのね)