☆☆☆

「ここからオアシスまで、どこくらいかしら?」


「さぁね。上から見たときには、たいして遠くなさそうだったけどな」


「歩いたら何時間?」


「知らねぇよ」


めんどくさそうに答えるアリム。


ローズはそんなアリムの背中に飛び乗った。


「うおっ!?」


こけそうになるのをなんとか踏みとどまり、中腰になって背中に両手をまわす。


強制的におんぶさせられたアリムは「なんだよ、お前」と、不服そうな顔色を浮かべる。


「あたしね、何年も塔にいたから長時間歩けないのよ」


「うそつけ、走って逃げたくせに」


言い返しながらも、渋々足を進めるアリム。


「男のくせに細かいわね」


そう言って、ローズはアルムの頬をつねった。


「いてっ! 暴力女」


「なんですって?」


「ってかさ」


「なによ。まだ文句言うつもり?」