「あぁ……」


「働いても、こんなに貧しい暮らしをしているの?」


「お前が食べた毒の実。あれと一緒だ。外の世界で生きるためには、自分自身に毒を持たないと生きれない時もある」


「あたしは……あの塔の中で……」


(幸せだった?)


その言葉は、恐くて言えなかった。


自分は被害者で、いつか王子様が助けてくれて。


そんなことを夢見るばかりで、自分から外の世界を知ろうとはしなかった。


外へ出る努力だって、してこなかった。


「あたし、あなたのことは絶対に好きにならないわ」


「勝手にしろ。俺は金がほしいだけだ」


「やっぱり、あんたって性格悪いわ」


言いながらローズは自分がアリムに惹かれていっていることに気がついていた……。