言いながら、アリムの声は徐々に小さく消えていった。


情けなさをかみ締めるように、焼けた蛇にかぶりつく。


「……お金がいるのね」


ローズの言葉に、アリムは答えない。


「妹さんのために、いるんでしょ?」


「……あぁ、そうだ」


自分のためじゃない。


裕福になるためにほしいわけじゃない。


そう、自分に言い聞かせるように、アルムは言葉を搾り出す。


「妹は、発症してから3週間が過ぎてる」


「だから、あんなやり方であたしを塔から連れ出したのね……」


「そうだ。もう、妹には時間がない」


「そうなの……」


揺らぐ心。


この男を助けたいと思う心。


ローズは男の服にそっと手をかけた。


袖の部分は真っ黒に汚れて、所々裂けている。


「これが、現実なの?」