言いながら、細かく切られた蛇の実に枝を突き刺し火のそばに突き刺す。


「悪いの?」


「あぁ。数ヶ月前から街で流行ってる病気で、体内での潜伏期間は一時間。発症して一ヶ月で、ほとんどが死んでる」


「その話、魔女のおばあ様に聞いたことがあるわ。空気感染するから、窓を開けるなって言われてて」


その言葉に、アリムはまた笑い始めた。


だけど、今度はどこか自傷的な、苦しげな笑顔だった。


「なんだ、お姫様。魔女に愛されてんじゃねぇか」


「なに、言ってるの? あたしは幼い頃に誘拐されて、実験台にされるかもしれなかったのよ!?」


さすがに、ローズも声が荒くなった。


ずっと閉じ込められて1人ぼっちだった。


この孤独はきっと誰にも理解できない。


アリムは焼けた蛇をローズへ渡し、そして「で? どんな実験台にされたんだよ?」と、聞いた。


「それは……」


口ごもるローズ。


実際には、なにもされていない。


これから何かされる可能性もあったけれど、でも、それも断言できることではなかった。


「身の丈にあった綺麗なドレスに、艶のある健康的な髪。細すぎず、太すぎもしない体。見てみろよ、俺の姿を。これが街の商人の姿だ。こんなの服って言えるか? ボロ雑巾だろ」