アリムは自分の手を湖で洗い、大きな葉を器がわりにして水をすくうと、ローズへ飲ませてやった。


「この実はドラゴンレッドだ。これをまともに食べられるのは竜だけ。わかったか?」


「あ……うぇっ」


胃の中のものをすべて吐いても吐き気は止まらず、涙を浮かべる。


「しばらく苦しいだろうが、全部吐け。ちょっとでも体内に残ると死ぬぞ」


冷たく言うとローズを肩に担ぎ、そのままホワイトの背中に乗せた。


ホワイトは不安そうに「キュゥ~」と、か細く鳴く。


アリムは昨日と同じようにローズの後ろに乗り、ドレスの端を握った。


「ホワイト、昨日の洞窟へ行け。このバカ女のせいで朝飯食えてねぇから、お前はその後ここのドラゴンレッドを食えばいい」


「キュゥゥ?」


「俺か? 俺は昨日の虹鳥がまだ残ってるから、それでいい」


「キュッキュッ」