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アリムが洞窟から出たのを確認すると、ローズはホワイトにそっと近寄った。


クリクリとした大きな目が、ローズの姿を捕らえて何度か瞬きをした。


その愛らしさに、ローズは思わず微笑む。


ホワイトの鼻のあたまを撫でながら「あなた、賢いのね」と、語りかける。


すると、ホワイトは「キュゥ」と、小さく返事をした。


「人の言葉がわかるの? すごいわ」


そう言うと、ホワイトは喜んだように何度も首を上下させ、それから体を伏せてローズ前に背中を出した。


「乗れって、意味?」


「キュゥ!」


「わかったわ。さっきので随分慣れたしね」


言いながら、ローズはホワイトの背中にまたがった。


するとホワイトは上体を起こし、洞窟の天井ギリギリの高さまで浮かび上がった。


それはさながらジェットコースターのようで、ローズは悲鳴を上げて、ウロコにしがみついた。


ホワイトは体をくねらせながら、洞窟の中をぐるぐると回る。


最初はしがみつくのが精いっぱいだったローズも、徐々にそれが楽しくなってきたようで「すごいわ!」と、喜びの声をあげた。


今にも天井に手が届いてしまいそうだ。


外で乗っていた時はスピードこそあったものの、ホワイトは2人を振り落とさないように安全に飛んでいた。