ホワイトは小枝へと向き直し、それに向けてゴォォォと爆音を轟かせながら火を噴いた。


一瞬にしてその火は小枝へと移り、辺りは明るく照らしだされた。


「服を乾かせ。風邪ひくぞ」


青年に言われ、ローズは恐る恐るその火へ近づく。


この土地は昼は暑いが夜は一気に冷え込むため、濡れたままでは命取りにもなりかねない。


「あなた……名前は?」


ローズはようやく自分から口を開いた。


「俺? 俺はアリム」


「あたしはローズよ」


「あぁ。さすがに、名前くらいは知ってる」


アリムはそう言い、歯をのぞかせて笑った。


パチパチと音を上げるたき火に背を向けて、アリムはあぐらをかいて座った。


ローズも同じ向きに座り、その顔を見つめる。


「なんだよ」


「あなたって、不思議」


「どこが?」


「どこがって……どこもかしこも、全部よ。常識はずれ」


「喧嘩売ってんの」