灰色の空はやがて真っ黒へ変わり、大粒の雨を降らせ始めた。


青年は突然の土砂降りに顔をしかめ、「ホワイト! 近くの洞窟に着地しろ! 急げ!」と、乗っている竜へ指示を出した。


ホワイトと呼ばれた竜は小さくコクコクと首を縦に振って頷くと、急下降を始めた。


「飛ばされんなよ」


青年はローズへ声をかける。


しかしローズは風と雨に言葉を遮られ、返事する余裕もなかったのだった。