もたついているとまた罵声を浴びせられそうなので、ローズは大人しく竜の背にまたがった。


見た目よりもゴツゴツした肌。


ウロコの1つ1つが手のひらサイズで、それに捕まれば大丈夫そうだった。


青年はローズの後ろに乗り、その背中の支えになった。


何年ぶりかに外へ出たローズは全身を包み込む風に一瞬身をすくめた。


蒸し暑いのに、寒いと感じたから。


「しっかり捕まってろよ」


「はい……」


か弱く返事をすると、竜はそれを合図にしたように猛スピードで空を泳ぎ始めたのだった。