姫に向けて暴言を吐いたあと、青年は竜から部屋へと飛び移った。


素足の青年の足にガラス片が突き刺さる。


それでも、青年は何食わぬ顔でローズに手を伸ばした。


その手も、先ほど窓を砕いたために出血している。


「来い」


「でも、あたし……」


「なんだよ。俺じゃ不満か?」


「不満……というか。お話の設定では、王子は兵士たちを倒して、それから――」


ローズの言葉を遮り、青年は大きなため息を吐き出した。