その後、俺も何度か樹里亜のカルテを開こうとしたがパスコードが分からなくて開けなかった。

何なんだ。
一体何があるって言うんだ。

「生・・・高橋先生」
「え?」
師長の声に驚いて振り返る。

「どうしたんですか?具合でも悪いんですか?」
「いえ。大丈夫です」
「そうですか。306の森山さんの点滴お願いできますか?」
「はい」

落ち着け、落ち着け。と、自分に言い聞かせながら、俺は業務をこなした。