今まで入ったことのない内診室。
医者としては使ったことがあっても、患者としては初めて。

「ズボンも下着も脱いで、診察台に座って」
私が初めてなのを察して、月子先生が声をかけてくれる。
いつもなら看護師がサポートでつくはずの診察も、今は月子先生1人。
きっと、私を気遣ってくれているんだろう。

「どう?用意できた?」
「はい」
ちょっと泣きそうになりながら、私は診察台に座った。

椅子が回り、角度が変わって座位から仰向けの姿勢になる。
ウィーン。
小さな機械音を立てながら、今度は私の足が開かれた。

「力を抜いていてね」
「はい」
灯りの消された診察室で、何をされているかも見えないまま、私は恥ずかしさと戦った。

「はい。いいわよ」
診察は10分ほどで終わった。