「どうした?大丈夫か?」
心配そうに、私の顔を覗き込む渚。

ああ、なんて長い睫毛なんだろう。
そんな場違いなことを思ってしまった。

「ねえ渚、キスして」
気がついたら口にしていた。
「はあ?」
やっぱり、呆れてる。

いいもん。
どんなに呆れられても、今は渚を感じたい。

「何があったんだ?」
「ねえ、キスして」
「お前なあ」
ちょっと私のことを睨んだ渚。

ゆっくりと近づくと、私の唇を塞いだ。
両手で頭をホールドし、奪うような口づけ。
いつしか口腔内が渚で満たされていく。

うぅん、うんん。
全身がしびれてしまうようなキス。
私も渚の肩に手を回していた。

私は渚以外の男性を知らない。
初めての人が渚だったから。
だから比べようもないけれど、私はいつも彼のキスにとろけてしまう。
きっと、相性が良いのね。

「リア・・・樹里亜?」
んん?

渚に呼ばれ、私は自分が気を失いかけていたことに気付いた。
「ごめん。息するのを忘れてた」

はああ。
大きな溜息と共に、渚は近くのベンチへと私を座らせる。

「で、何があったんだ?」