その晩はお姉ちゃんのマンションに泊めてもらい、翌朝おとなしく家に帰った。


母さんに、「心配したのよ」と言われ、

素直に「ごめんなさい」と言えた。


その日を境に、私のイライラが少し収まっていった。


もちろん小さなイザコザはある。

お姉ちゃんが具合の悪い母さんを置いて仕事に戻ったと聞けば、「おかしいでしょう」と向かって行った。

私は、お姉ちゃんや兄さんのような大人にはなれなから。

他人より、仕事より、母さんが大事だから。

「お前はいつになったら大人になるんだ」

と、兄さんに呆れられたけれど、このままでいい。

竹浦の家の中で私は異質な存在。

そう思っていた。



しかし、

このパワーバランスが大きく変わる事件が起きる。