角を2つほど曲がり、人通りの少なくなったところで、私は腕を放された。


「もー、痛いじゃないですか」

赤くなった手首をさすり、文句を言う。


一方山口先生は不機嫌そうに私を見ている。


「お前は一体何がしたいの?」

哀れむような視線。


カチッ、ときた。


「私がどうしようと先生には関係ないじゃないですか?何でかまうんですか?放っておいて」

「放っておけないんだ」

「何で?父が地元の名士だから?恩でも売ろうって思ってます?残念。私は竹浦の恥ですから、関わっても何の特にもなりませんよ」

一気に言って、自分で悲しくなった。


「馬鹿だなあ」

そう言うと、先生が私の頭をクシャッと撫でた。


ウルッ。

ヤバイ泣きそう。


そう思ったとき、


「ちょっと君たち」

後ろから現れた制服の警官に声をかけられた。