「こらっ、何してるんだ」

突然声をかけられて、私はジンジャエールを口から吹いてしまった。


そして、断りもなく隣に座る男性。


「また説教ですか?」


ちょっと頬を膨らませて、隣の席を見る。


「説教されるようなことすらからだろう」


とても教師には見えないカジュアルな服装。

学校とは別人のような口調。


「ここは学校じゃないんです。放っておいてください」

そう言って、グラスを口にした。


次の瞬間。


「ああ、ちょっと」

急に手からからグラスが奪われ、


「何だ、ジュースか」

一口口にして、ホッとしたように呟く。


「未成年にお酒は出しませんよ」

と、愛さんが隣の席にビールを置いた。


「もー、先生。何するんですか」

勝手に口をつけるって、間接キッスじゃない。


「分かった。悪かった。新しいのおごるから、飲んだら帰りなさい」

山口先生は教師の顔になって指示した。



「もういいです」

私は席を立った。


今日の私は山口先生との偶然の出会いを喜ぶ気分にはなれない。


「梨華、気をつけて帰りなさいね」

愛さんの声に送られて、私は店を出た。