さすがに新婚旅行は行かなかった。
でも1つだけ、私はお願い事をした。
それは、渚と2人で軽井沢の別荘に行くこと。

家からの距離もあり心配だと渋る母さんに、
「医者が着いてるんだから大丈夫。何かあればすぐ連絡するから」
と押し切った。


久しぶりに来る軽井沢は、子供の時来たまま変わっていなかった。
私達が来るに為に随分綺麗に掃除をしてもらったようで、中も外もピカピカ。
食材もたくさん買い込んでくれていた。

「すごい。冷蔵庫が一杯だよ」
嬉しそうな声を上げる渚。

今は秋ということもあって、暖炉の薪までちゃんと用意してある。

「樹里亜、何か食べたいものがあれば作るよ」
「うーん、お味噌汁」
渚の作るお味噌汁が食べたい。
「了解」
早速お米を研ぎ始める。
「おかずは私が作るね。と言ってもソーセージと目玉焼きだけど」
フフフ。
2人笑い合いながら、ささやかな夕食が出来上がっていく。

「いただきます」
用意してあった冷蔵庫の常備菜を出しながら、渚の作ったお味噌汁を堪能した。