それに僕自身、これからどうしていいか、どう考えるのが正解なのか、僕一人でこたえを出すことに限界を感じていた。

 だから僕は、昨日花穂が倒れたときに、倒れる直前の記憶が花穂の中から消えてしまっていることとその原因についての憶測を話すことにした。


「……で、それで将太は怖くなったの?」

 園田先輩は最初こそ驚きと戸惑いの入り交じったような表情で聞いてくれていたが、全て聞き終わった後の彼は違った。

 じっと見つめてくる二つの瞳に責められているような気にさえなる。


「そういうのじゃなくて……。もしかしたら過去を思い出すことは、花穂にとってそのときの記憶を消して倒れてしまうくらいに残酷なのかなとか考えちゃって……」

「でもさ、それって結局は将太の憶測なんだろ?」

「まぁ、そうなんですけど……」


 小声でボソボソと話を交わす僕たちの少し前には、別々で行動していたはずのもうひとつの天文学部のグループと合流したことで、天文学部の女性部員と楽しそうに会話を交わす花穂の姿が見える。

 偶然にもそのおかげで園田先輩と余裕をもって話ができるのだからありがたい。