「そんなに行きたいなら、行っても良い。但し、泊まるところはしっかり決めて、定時連絡を欠かさないこと。その時、スマホでの写真も付けること」
そう、お父さんが言うとお母さんが言う。
「あなた、行かせるの!?私は反対よ!女の子一人でなんて、無茶だわ!」
そんなお母さんの言葉に、お父さんはフゥとため息を一つついたあと言った。
「そうは言ってもな、あのすっかり落ち込んでた遥香がやっとやりたいことを言ってるんんだ」
その言葉に、お母さんも押し黙る。
私はこの二年、結構周りを心配させるくらいにはボヤっと怠惰にしていたと思う。
そんな私が、やりたいことを見つけて言い出したのだからというのがお父さんの決め手になったようだ。
あと、多分反対しても自分たちが仕事に出ているうちに行ってしまうとも予測がついたようだ。
元来の私は意思が強く、こうと言ったらテコでも譲らない子だった。
それに思い至ったのか、お母さんも大きなため息一つつくと言った。
「定期連絡はしっかりとね!それと、山の方には私たちの友人がやってるペンションがあるから。部屋が空いてないか、聞いてみるから」
そう、お祖父ちゃんと行った時もそのペンションに泊まったのだ。
そこに行けたらと私も思っていたので、母の提案には頷いて返事をした。
「唐突で申し訳ないけれど、よろしくお願いします」
こうして、私の一人旅計画はなんとか両親にも話が通り、行けることになったのだった。
【お祖母ちゃん、来週から旅行行けることになったよ。行く前にお祖母ちゃん家に寄るからね!】
そう、メールを送ればお祖母ちゃんから返信がきた。
【それは良かったわ。気おつけるのよ】
お祖母ちゃん、齢八十目前でもメールが出来る。
なかなかハイカラなお祖母ちゃんである。