週末、休みの日の午後。
くつろいでいた両親に声をかけた。
「お父さん、お母さんちょっといい?」
その私の声に反応して、お母さん達がリビングのテーブルからダイニングの方に移動してきた。
「あのね、来週から平日の四日でちょっと旅行に行こうと思うの」
私の言葉に、両親は首をかしげつつ言った。
「誰かお友達と行くのか?高校生でそんなに旅行なんてちょっと贅沢じゃないか?」
そんなお父さんの言葉に、お母さんも言った。
「そうね、ちょっと気が早いんじゃないかしら?大学が決まった春休みとかでも旅行は出来るんじゃない?」
行くことに反対はないが、贅沢か時期が早いという感じみたいだ。
「違うの、一人旅しようと思ってるの」
私の言葉に、お父さんとお母さんは驚いて、一気に顔色が変わった。
「世の中、色々物騒なのに!年頃の娘の一人旅なんてダメだ!」
「そうよ!何があるか分からないわ!お母さんも反対よ」
やっぱりそうか、でも私も譲れない。
これは自分探しと思い出を辿るためのものだから。
そこで私はうちに置いていたアルバムをテーブルに持ってきて、それを広げて見せた。
「お祖父ちゃんと行った、この場所に行きたいの」
広げたページには海の写真と、山の中での星空の写真。
どちらも隣県で撮ったもの。
車だったり、電車だったりすれば泊まることも無いのだろうけれど、私は自分の足で行きたくって原付の免許を取った。
ゆっくりのんびり、そこに行くまでもなにかあれば写真に撮って行こうというつもりだった。
「これは、親父の……」
お父さんはそう呟くと、少し考える顔をした。
そして言った。