翌日には運転試験場に行き、無事に原付免許を取得。
その翌日にはお祖父ちゃんの原付をバイク屋さんに持って行って、メンテナンスをしてもらい午後からは、広めの公園の駐車場で運転の練習をして、夕方に帰宅した。

「ただいま!」
そう声をかけて上がれば、台所からいい匂いがする。

「おかえり。お夕飯、食べてくでしょう?」
「うん!手を洗ってくるね」
お祖母ちゃんは私の好物を用意してくれていた。

オムライスにハンバーグ、コンソメスープにサラダ。
お祖母ちゃん達は和食の方が好きなはずなのに、私が来るとなると好きなものを必ず用意してくれた。
しかも、お祖母ちゃんのご飯は洋風だろうと和風だろうと美味しかったから、私はいつも多いくらい食べてしまう。

「準備は出来たのかい?」
「うん、週末にお父さん達に話して出かけることにするよ。多分一週間も掛からずに帰れるとは思うけど」

そんな私の言葉に、お祖母ちゃんは頷きつつ言った。
「こんなに生き生きとした遥香は久しぶりさね。やっと遥香は戻ってきたんだね。やりたいように、おやり」
どこまでも分かってくれるお祖母ちゃんに私は頷くと、聞いた。

「ごめんね、足が遠のいてて。お祖母ちゃんが一番寂しかったのに……」

思わず、俯く私にお祖母ちゃんは穏やかに言った。

「悲しいとか、寂しいって気持ちは無くならないけどね。私はまだ生きてるし、おじいさんの分も遥香を見たいからね。まだまだ元気にやってくわよ」

穏やかなのに、内容は逞しくって私は自然と浮かぶ笑顔で言った。
「すっごくお祖母ちゃんらしい!そうね、いっぱい元気にまだまだいろいろ楽しんでよ。出発前に、お祖母ちゃん撮っていい?」

「まぁ、じゃあ綺麗にしないとね」

穏やかに、過ごした久しぶりの温かな時間だった。