本格的な一眼レフとか、現役だろうが古いカメラとか。
そこにはちょっとだけ似つかわしくない、小型の一眼レフが置かれている。

「これはデジカメ型の一眼レフでねぇ、遥香にっておじいさんが買ってたのだよ」

お祖母ちゃんの言葉に思わず顔を見ると、ニコニコと嬉しそうに言った。
「いつか、必ず遥香がこれを持つ日が来る。まずはこれで撮ってみて、面白いと思うならこっちの腕が必要なのも遥香に渡してやれって」
ニコニコなお祖母ちゃんは私を見て、そして店内とお祖父ちゃんのカメラたちを見て言った。

「遥香はきっとカメラが好きだ。あいにく俺の息子達は継がないが、これと決めたら揺らがないから。遥香がカメラを取りに来たら、店をなんとか維持してくれですって」
まったくって態度だけど、お祖母ちゃんも嬉しそうだ。
「ここは、私とおじいさんの思い出がいっぱいだからね。ここに来れるなら、遥香ももう大丈夫だね」

お祖母ちゃんは、私が言わなくっても分かっていたのだ。
叶うわけなどないんだけれど、ちょっと面白くない。
「私って、そんなに分かりやすい?」
ちょっと面白くなくって、すねた表情になった私にお祖母ちゃんは、声を上げて笑った。

「私らにとったら、孫だからね。それもよく見てきた子さ、分かるもんだよ」
両親以上に、祖父母にはかなわない。

「うん、そうだね。私は、そうやって周りに育てられたんだもんね。じゃあ、ちょっと明日は原付の免許取りに行くね!お祖父ちゃんのカブ借りるからね!」

さすがに、この発言は予想してなかったらしくお祖母ちゃんは目を丸くするも、ふふっと笑って言った。

「そう、遥香は元々はこうだったね。いいよ。思うようにやってごらん」

こうして、私は来週には行動できるように準備を始めるのだった。