自分探しの旅に出る?気怠い遥香の夏休み


こうして、お付き合いがスタートすると、元々世話焼きだった信楽さんは、どんどん甘くなった。
呼び方も変わってなんだかくすぐったい感じ。
そんな、春休みの休日。
珍しくお父さんもお母さんも休みで家に居る日。
信楽さんは、我が家に挨拶にやってきた。

「まぁ、こんにちは信楽さん。さ、上がって」
にこやかなお母さんに案内されて、リビングに行くと、お父さんはちょっと複雑そうな顔をして待っていた。

「今日は、お時間頂いてありがとうございます。先週から遥香さんとお付き合いさせて頂いてます。それで、今回はお話があってきました」
お付き合いの報告だけだと思っていた、私はキョトンとし、お母さんは楽しそうで、お父さんは複雑な顔のままだ。

「遥香さんのキャンパスは、俺の家からの方が近いです。課題も多く忙しくなると思うので、彼女のためと言うのと、自分が少しでも長く一緒に居たいため同棲したくおもうのですが、どうでしょうか?」

お母さんはキラッキラと楽しそうで、お父さんは苦り切っていて、私はその提案を想像して頬が暑くなった。

苦り切ったお父さんが口を開くのが早かった。
「嫁入り前だ。同棲なんて反対だ!」
そんなお父さんにお母さんがズバッと言った。
「やだわ、私たちだって大学時代同棲状態だたじゃない! 忙しいのを理由に康介の部屋で寝起きしてたわよ、私」

と、二人の昔話を投下したのだ。
これにはお父さんも慌てた。
「香澄ちゃん! そんな時もあったけどでもね!」

そんなお父さんに、お母さんはビシッと言った。

「子離れしなさい! 父の葛藤は分かるけど、ここで許可しないと遥香はある日突然出てちゃうわよ? 行動力あるんだし」
そういったのは、確かに間違ってないと思う。


「条件がある……」
苦り切ったお父さんが言ったのは、私たちには想定外だった。

「同棲するってうなら、もう龍星くんの年齢から考えて微妙だろう。籍を入れて夫婦になるなら送り出そう。その代わり、大学卒業までは孫は要らんからな!」

まさか、ここで結婚の許可が降りるとは信楽さんも思ってなかったらしくびっくりしている。

「なんだ、まさか遥香は遊びなのか? なら、お付き合いも許さんぞ!」
そんなお父さんの言葉に、信楽さんはすぐさま反論した。

「そんな訳ありません。俺は遥香しか結婚は考えられない。そちらがいいのであれば、籍を入れさせてください」
そう言って、信楽さんはうちの親に頭を下げてくれて私達は、結婚して一緒に住むことになった。
大学などの手続きがちょっと面倒だなと思っていたら、信楽さんが言う。
「もし、大学等の手続きが面倒なら、俺が津田性になってもいいんで」

その言葉に驚くと、聞けば信楽さん三人兄弟の末っ子で上二人とは歳が離れており、既に家庭を持てって子どももいるんだとか。

そんなわけで、長野の信楽さんの実家には一応電話で報告とご挨拶をして反対もなく、この日に私と信楽さんは入籍して、私は信楽遥香になったのだった。
そうして、あれよという間に私は囲われてしまっていた。
逃げ出せない、優しい龍星さんとの生活はこうして予想外に進んでスタートを切ったのだった。

自分探しに旅に出て、出会ったのはサファーでチャラそうなお兄さん。
次に会った時はチャラいけどスーツを着こなす大人の男の人だった。

そうしてその後も何くれと会いに来てくれたり、会いに行っては世話を焼かれていたと思う。
そんな相手は私に好意を持ってただなんて、誰が予想できただろうか?
年の離れた相手だっただけに、私は想像すらしていなかった。

「まさか、この歳で結婚することになるとは。予想もしてなかったよ」
引越し作業をしながら、つぶやく私に流星さんは片付けを手伝いながら言った。

「 ほぼ、最初に声をかけた時からの一目惚れだったからね」
そう背後から抱きしめて、私の耳に囁きを落とす。
付き合って三週間で結婚して、一緒に生活を始める。

誰だって予測しないだろう。
自分のやりたいことと、思い出探しの旅に出て、まさか将来の旦那様と出会うなんて。

やりたいことも見つかって、さぁ頑張ろうって時にそれを理解して支えてくれる。
その存在は貴重である。
大切だし、私も好きだし、気持ちはあるのだ。
でも、フッと思うのはあそこでカメラも持たず、旅にも出なかったらどうなっていただろうと。
今でも怠惰で、進学すら怪しかっただろう。
そんな想像とは別のベクトルに導いてくれた彼に感謝して、私は彼にそっと囁いた。

「感謝してます。だから健康に気をつけて、少しでもたくさんの時を一緒に過ごしましょうね」
そんな私の言葉に破顔して、龍星さんは私をぎゅっと抱きしめた。

「うん。俺、長生きするわ! 遥香置いてけないもんね」

その言葉に、抱えて持ってたタオルもどこへやらで、私達はキスをしつつも作業を続けた。

自分探しの旅に出て、私は未来の旦那様を
捕まえてしまいました。

人生何が起きるか分かりません。
あなたは、どう生きますか?
私はこれから夢に向かって邁進していくつもりです。
その横には、この優しくあまーい旦那様が一緒に居て、いつかはこの空間に新しいメンバも増えるのかもしれません。
そんな未来もありですよね?

さぁ、あなたはどうしますか?


そうして、私はバーチャルリアリティ、夢機械から目を覚ましたのでした。

津田遥香、高校二年生。

怠惰な遥香の未来はどうなる?
夏休みはまだ、始まったばかりです。


Fin
あらすじ

怠惰で、やる気なしの女子高生津田遥香は、この怠惰生活に疑問を持ち動き出した。
彼女は、祖父の残したカメラを持ち、祖父との思い出の地を巡り、男性と出会い、その後を夢に向かって過ごし、結婚する。
そんな自分とはかけ離れた世界をバーチャルリアリティ、夢機械で体験して彼女は目覚めた。
その後、そんな未来が訪れるのかは彼女次第であるというお話です。

夏休みは始まったばかりでなので。
今後で彼女の世界も変わるといいな、そんな希望を込めて書き上げました。



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