自分探しに旅に出て、出会ったのはサファーでチャラそうなお兄さん。
次に会った時はチャラいけどスーツを着こなす大人の男の人だった。

そうしてその後も何くれと会いに来てくれたり、会いに行っては世話を焼かれていたと思う。
そんな相手は私に好意を持ってただなんて、誰が予想できただろうか?
年の離れた相手だっただけに、私は想像すらしていなかった。

「まさか、この歳で結婚することになるとは。予想もしてなかったよ」
引越し作業をしながら、つぶやく私に流星さんは片付けを手伝いながら言った。

「 ほぼ、最初に声をかけた時からの一目惚れだったからね」
そう背後から抱きしめて、私の耳に囁きを落とす。
付き合って三週間で結婚して、一緒に生活を始める。

誰だって予測しないだろう。
自分のやりたいことと、思い出探しの旅に出て、まさか将来の旦那様と出会うなんて。

やりたいことも見つかって、さぁ頑張ろうって時にそれを理解して支えてくれる。
その存在は貴重である。
大切だし、私も好きだし、気持ちはあるのだ。
でも、フッと思うのはあそこでカメラも持たず、旅にも出なかったらどうなっていただろうと。
今でも怠惰で、進学すら怪しかっただろう。
そんな想像とは別のベクトルに導いてくれた彼に感謝して、私は彼にそっと囁いた。

「感謝してます。だから健康に気をつけて、少しでもたくさんの時を一緒に過ごしましょうね」
そんな私の言葉に破顔して、龍星さんは私をぎゅっと抱きしめた。

「うん。俺、長生きするわ! 遥香置いてけないもんね」

その言葉に、抱えて持ってたタオルもどこへやらで、私達はキスをしつつも作業を続けた。

自分探しの旅に出て、私は未来の旦那様を
捕まえてしまいました。

人生何が起きるか分かりません。
あなたは、どう生きますか?
私はこれから夢に向かって邁進していくつもりです。
その横には、この優しくあまーい旦那様が一緒に居て、いつかはこの空間に新しいメンバも増えるのかもしれません。
そんな未来もありですよね?

さぁ、あなたはどうしますか?


そうして、私はバーチャルリアリティ、夢機械から目を覚ましたのでした。

津田遥香、高校二年生。

怠惰な遥香の未来はどうなる?
夏休みはまだ、始まったばかりです。


Fin