信楽さんが連れてきてくれたのは、私の地元の駅にあるホテルのレストランだった。
ここは我が家でも、何かのお祝いでなければ来ないお店だった。
ついこの間、大学の合格祝いで親とお祖母ちゃんと来たけれど。

ここ、中々のお店である。
いいのかなぁ、と思いつつも信楽さんに付いていくと予約されていたのか、個室に通された。
個室の窓からは、見慣れた街の風景がある。
そんな中で、ご飯はスペシャルランチだった。
ランチの中でもお高いコースで、そうそう食べになんて来れない。

どの料理も盛りつけから綺麗で、美味しくって、写真や、これからの大学生活について話したりして堪能しているうちに、あっという間にデザートになっていた。
デザートはガトーショコラにアイスとクリームにベリーのソースがかけられた豪華なものだった。
「美味しそう、いただきます」

デザートまで美味しく頂いて、満腹のお腹を抱えつつ、食後のお茶を飲み始めた時、信楽さんが切り出してきた。

「遥香ちゃん。大学に行けばたくさんの人と出会うと思う。それは良いことだし、応援しているけれど、俺結構心が狭くって。だから、言いたいことがある」

いきなりの真面目なトーンに私も姿勢を正して、信楽さんの続きを待った。

「遥香ちゃん。俺は君が好きです。遥香ちゃんより随分上のオジサンだけど、俺は君に恋をした。付き合ってくれないか、結婚も視野に入れて」

突然の告白。
予期していない人からの言葉に、ガツンと叩かれるような衝撃を受けた。
精神的にである。
いつからなんだろう?
どうして私なの?オジサンでも、信楽さんはカッコイイ部類だ。女の人が寄ってくるくらいには。