その授賞式には被写体も参加だったので、信楽さんと共に出て、頂いた地元レストランのお食事券も一緒に使って帰ったきた。
「遥香ちゃん、俺と使っちゃって良かったのか?」
使った後に聞くのもどうなの?と思いつつ、私は笑って答える。
「お母さん達にあげてもいいかなとも思ったけど、うちの両親は忙しくってここまで来れそうにないから、使うならモデルのお礼にと思って」
私はすっかり信楽さんに慣れて懐いていた。
信楽さんも、私のことは弟子で年の離れた妹みたいに扱っている。
こうして出かける時は立派な保護者代理である。
お父さんとお母さんも、すっかり信楽さんにおまかせしちゃってる。
いいのかね、それでと思わなくもない。
しかし、年の離れた私と信楽さんはカメラという共通項ですっかり男女の仲も年の差も飛び越えて馬の合う同志だった。
こういった出会いもあるのかと思ったものだ。
その後もこんな感じの師弟関係が続くんだと思っていたのだが、変化というのはなににおいても訪れるものなのだった。